【子どもの「症状」】
前回のブログでは、子どもの巣立ちや、それにともなう親側の痛みについて書きました。
でも、書いている最中から、自分の中に違和感があることにも気づいていました。
その違和感とは・・・「いや、ときに巣立たなくてもいいよね」っていうことです。
もしくは、「巣立ちだって、人それぞれだよね」っていうことかな。
巣立ったと思ったら舞い戻ってきたり、何度か繰り返していつか巣立ったり。
なにか症状や問題行動のようなものがあってなかなか巣立たないように見えたり。
巣立たず、古い巣を自分の巣に作り替える、ということもあるんじゃないかなあ・・・。
今日は、そういったことについて書きながら考えてみたいと思います。
「ふつうは」「一般的には」「たいていは」、
学校に行って、卒業して、家を出て、仕事して・・・
ということは確かに多いように思いますが、
でも、そもそも「ふつう」ってなんなんだ?
「ふつう」以外は「いじょう」なのか?
そもそも「たったひとつのふつう」なんて、
実はどこにもないんじゃないの?
・・・と思ったりもします。
たとえば、体の発達もそうですね。
顔や性格、体型はもちろん、発達のしかたや特性もみんな違うし、
特に幼い時は個人差がとても大きいと「一般的には」言われています。
わかりやすい例を、今とつぜん思いついたので「歯」で考えてみると・・・
近年は生まれたころから乳歯が生えている子がいるかと思えば、
育児書に書いてあるような月齢に、ほぼ育児書にある順で生えてくる子もいるでしょう。
それから、これは私のある友人の息子さん(高2)の場合ですが、
虫歯でもないのにぐらぐらする歯があるので歯医者さんに相談したら、
実はそれが乳歯だったと判明したそうです。
歯科検診や、クリーニングも定期的に受けていたにもかかわらず。ちょっと驚きでした。
幼くなくても、実は個人差ってとても大きいんですね。
ちなみに、その乳歯の下の永久歯が横から顔をだしていたので、
今後のためにはそろそろ抜く必要があると言われたそうなのですが、
ある意味その乳歯のおかげで、1本の永久歯は虫歯になるリスクを今まで回避できていたわけで、
聞いていて私は、それもなんだかかえって遅くてよかったような気もしました。
物事にはたいてい、悪い面、良い面、両方ありますから。
こころのあり方や、巣立ちについても似ているように思います。
「反抗期」がある子も、ほとんど見当たらない子もいるし、
大人になってから反抗する人もいると思います。(実はわたくしがそうです。)
引きこもりや不登校をしていたり、学校への行きしぶりがあったとしても、
その後の変化は実にひとそれぞれのようです。
また、私たちは「症状」や、いわゆる「問題行動(と呼ばれがちなもの)」そのものを、
単によくないものとか、取り除くべきものとか、悪者としては見ません。
いろんなケースが考えられますが、基本的には多くの場合「必要があって」やっている
・・・と考えるからです。
そう考えると、物事のとらえ方や見え方が、開けていくように感じるのです。
ですから、その症状や行動を否定せず、
その背景について一緒に考えてみることは多いです。
そうすると、「17年モノの乳歯」のように、一見やっかいに感じられるものも、
実はちゃんと役に立っていたり、誰かや何かを守っていたり・・・
ということに、ふと気づくことがあります。
このことについては、奥が深くて書ききれないので、
いつかまた別の機会に、改めて・・・。
Nakayauchi