【私の中の子ども】
私がしょっちゅう行く小さな商店は、使いやすくて庶民的で、
ふだん必要なものはたいていそろっていて、野菜の新鮮さが魅力。
そして安いし、財布の中身を入れ忘れた時などはツケてくれたりもします。
近くに大きなスーパーがいくつかあるけど、
夕方などは仕事帰りの主婦やお年寄りで通路がいっぱいになるほどなのです。
昨日の夕方、いつものように買い物に行くと、
小さな女の子が買い物かごを下げてお買い物をしていました。4才くらいかな。
メモを握りしめてひとりで通路をトコトコ行ったり来たりしています。
背中には、黒い耳のある動物のぬいぐるみをおぶって、
その上からフリース地のポンチョみたいなものを羽織っています。
昨日の午後はけっこう寒かったからね。
彼女の黄色いカゴの中にはオレンジ色のジュースが入っていました。
その姿があんまりかわいいので、私の目はすぐ釘づけになりました。
ふと見ると、その子のお母さんらしき人が一瞬お店に入ってきて、
メモの字をていねいに教え、「これは、パパのパンだよ」などと言って
また出て行きました。
女の子はそのまま買い物をして、ひとりでレジへ行き、
肩から下げたバックの中からお財布を出して支払いをし、
カードにポイントもつけてもらい、
そのカードとおつりをがんばってひとりで財布にしまいました。
その間、レジの女性はショッピングバックに商品を入れてあげて、
口を持ちやすいようにしばり、
「玉子も入ってるから気をつけるんだよ」と言って手渡してあげました。
私は一緒にレジに並んでいた女性と「かわいいねー」というようなことを
共感しながら話し、その姿をずっと見守っていました。
・・・・と、彼女が店の戸を閉めて出ていくとき、
その誇らしげなおかっぱの後ろ姿を見たとたん、
思いがけず私の目から涙がどっと溢れてきてしまいました。
こういうシチュエーションで泣いてしまうことって、私はけっこうあるのですが、
みなさんはいかがですか。
「かわいすぎて泣く」とか「感動」ともちょっと違う感じなんです。
「悲しい」とか「せつない」というのもしっくりきません。
言葉で表現するのは難しいのですが、なんていうか・・・・
「私の中の子ども」の部分が反応しているように感じるんですよね。
あえて言葉にしてみると、「こんな風になりたかったな」とか、
「こんな風にしてもらえたら嬉しかったな」という感じでしょうか。
たぶん、その子に私の中の子どもが重なって、そして癒されたように感じます。
自分がやらなかったことを、偶然ですが見させてもらったことで
いっしょに体験させてもらえたような感じでしょうか。
そんな私なので『初めてのおつかい』などはもちろん鼻水ズビズビですが、
自分でも「え?ここで?!」と驚くような思いがけない場面でも実際は多いのです。
以前は、自分でもそういう涙の意味が全くわからなかったので、
予期せず突然出るし恥ずかしいし、困っていました。
友人と一緒にいる時にそのようなことが起きると、
「何でも話して!聞くよ!」とすごく心配されたりして・・・(^_^;)
普段はあまり意識しなくなりましたが、
それでもやっぱり小さい子を見るとこういう反応がよく起こります。
そんな時は、自分の中の子どもをイメージの中でそっとヨシヨシしたり、
ハグしたり、膝に乗せてあげたりします。
私たちの間では、そういう子どもをインナーチャイルドとも呼びます。
みなさんの中に、小さな子どもはいますか。何才くらいの、どんな子ですか。
どんな髪型で、どんな服を着ていますか。
どんなものが好きですか。
私の中のその子は、4才くらいの、日に焼けた野性児で、笑顔のかわいい子です。
丸顔に短いおかっぱで、母が作った赤い服を着て、口をキュッと結んでいます。
動物や自然や外遊びが大好きで、そしてなぜか雨の日が好きな子です。<b